UWBとは

UWB(超広帯域無線、Ultra Wideband)とは

  • UWBとは従来の狭帯域無線通信やスペクトル拡散無線通信とは異なる無線通信方式です。上の図はUWBと既存の無線通信方式とのスペクトラムの比較です。
  • 使用する周波数帯域は3.1GHzから10.6GHz(米国仕様の場合)で帯域幅は7,500MHzと従来の無線の数百KHzや、Wifiの20MHzと比べて、かなり広い帯域を利用します。
  • 送信出力は-41.3dBm/MHz以下に制限されており、これは家庭用テレビやパソコン等の一般の電子機器等が発生する雑音レベルの約500分の1以下という、非常に小さな出力で通信します。
  • UWBの方式としては、インパルス方式(IR, Impulse Radio)とMB OFDM(MB OFDM)の2方式がありますが、MB OFDM方式は数年前に推進役の大手企業が撤退したことで、最近はあまり話題にならなくなりました。
  • 一方でインパルス方式は、その特性から高速通信のみならず、高精度の測位・測距センサーや近距離レーダー等の幅広い応用分野に活用できる技術として注目を浴びてきています。
  • また、最近は医療機器への与干渉性や人体への非侵襲性に優れていることから医療機器への応用が着目され、2012年2月に国際標準規格のIEEE802.15.6に医療用BANとして採用されました。
  • 日本国内では電波法から3.4GHz-4.8GHz帯(ローバンド)と7.25GHz-10.25GHz帯(ハイバンド)の2バンドが使用可能ですがローバンドはDAA(Detect And Avoidance)という干渉軽減技術を必要とするため、実用上はハイバンドのみが使用可能と考えられています。
  • 2021年8月に国内電波法で新たに7.25GHz-9.0GHzの周波数帯で屋外での使用が認可されました。これによりUWBの応用分野が広がり、普及がさらに加速されるものと期待されています。

インパルスUWBの特徴

1.高速通信

インパルスUWBの代表的な出力波形が左の写真です。1パルスのパルス幅が0.2ナノ秒程度(1ナノ秒は10億分の1秒)と短いため、このパルスを使って0.5ナノ秒毎に送信すれば2Gbpsの高速通信ができることになります。

2.高精度の三次元位置検知

インパルスの空中伝搬時間を利用して高精度の3次元の測位・測距センサーが実現できます。電波を利用しますので、照度、温度、風等の外乱の影響を受けることなく計測が可能です。

3.電子機器への低与干渉性および人体への非侵襲性

送信電力が無線LANの100万分の1、携帯電話の1,000万分の1以下と低いため、医療機器等や人体への影響が全くと言っていいほどありません。

4.低消費電力

送信出力が電波法の制約から低く抑えられていることと、搬送波(キャリア)を使わないため、従来の無線送信機に比べて消費電力を飛躍的に抑えることができます。

5.低コストで実現

従来の無線機器よりも回路方式がいたって単純なため使用する半導体のチップ面積も小さくなり、結果として製品コストを低く抑えることができます。